「わたしが命のパンである」
ヨハネによる福音書には、ユダがイエスを棄てようとする場面がある。ユダはイエスとの食事を終えたあと、食事の場を立ち去る。役人や兵隊らを引き連れてイエスを逮捕させるためだ。ユダの心がすでにご自分から離れ、ユダが自分を棄てようとしていることをイエスはご存知であった。しかしイエスはユダに、不思議なことをなさる。パンをひと切れユダに渡すのだ。剣をユダに向けるのではなく、呪いの言葉を浴びせるのでもなく、イエスはパンを渡すのだ。ユダはそれを受け取って出て行く。旧約聖書の詩編には「わたしの信頼していた仲間 わたしのパンを食べる者が 威張ってわたしを足蹴にします」(詩編41・10)という詩があり、それをもとにした場面とも解釈されているが、イエスは今日読んだ聖書の箇所で宣言なさる。「わたしが命のパンである」と。しかも、「わたしのもとに来る人をわたしは決して追い出さない」と。主イエスは、ご自分を棄てる人も、ご自分を死に追いやる者も、決して追い出さない。排除しない。
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